丘と水路と橋と火を

言葉と技術

2016-05-01から1ヶ月間の記事一覧

Amazonでいま買える、あなたに読んでほしい「短歌」の本

立場上*1、よく後輩や高校生から「短歌の本でおすすめありませんか?」と聞かれる。 そういうときは様々な歌人の作品を読むことができるアンソロジーを勧めたり、好きな短歌・歌人を訊いてその人が好きそうな本を勧めたりしている。 だが、そういう話をした…

「定型っぽく読める」を考える

1 序論——定型っぽく読める? 歌会など、短歌作品を数名で読んでいるときのことだ。参加者の一人がある歌を一読して、その歌に対する評に移る。私を含めた数名がそれを聴いている。評者による批評が進行して、歌の韻律についての話が持ち上がると、評者が「こ…

中庭の木

文芸部の部室の窓からは、ちょうど中庭の木が見える。何という名前の木かは知らない。中庭の湿っぽい地面に確かな根を張って、校舎と同じくらいの高さの身体を支えている、木。放課後、晴れていたなら葉の隙間から夕日が差し込むのだけど、その夕日は淡く、…

いつからか本が読めなくなった。 時間的な制約があるわけでも、肉体的な制約が生じたわけでもない。本によって、文字によって、情報を得ることがなくなったわけでもない。ただ、本に没頭するということが、自分のなかから抜け落ちたようだった。いつからか記…